無意識

先生は無意識という言葉が嫌いである。
ある朝わたくしの携帯に着信が入っていた。こんな朝早くから何事かと思い電話をした。

わたくしは電話くれたみたいだけど何かあった?と、聞くと先生は寝起きの声で、俺かけてないよ。と、言った。確かに着信履歴があったのだ。
午後になり先生からメェルがきた。
発信履歴があるんだけどかけた覚えがないんだよね。
しかも俺、携帯って枕元から離れたテーブルの上に置いてあるんだ。

眠剤の影響からか現実との区別がついていないのである。事故でも起きたら大変だと言ったが先生は、
事故ってなんで起きるかしっとるけ?
気をつけても気づかないうちに起こってしまった事を事故というのだ。 こけるときって、こけようとは思わんべ?だから事故なんだよ。ちゅーことは、気をつけようがないのだ。
世の中、予定調和説が支配しているのか。
運命とはまさに、予定調和の事よね。
なんて言った。

ならば回避できる事故だってあるはずなのだが、宿命は変えられないが運命は変えられるなんて簡単な話ではないのかもしれない。
何かを意識して電話をくれたようにしか思えなくなった。