2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

二十五日

二十五日の日の朝方、妙な感覚にとらわれて目が覚めた。 窓を見るとあるはずのない男性の腕が外から内側へと伸びてきた。 その腕は窓のロックを外そうとしていた。夢か現実なのかは分からないが恐怖心を覚えた。 わたくしの寝ている隣を見ると亡くなった母親が…

昨日の先生は苛立っていた。 メェルの文体で分かったが読んでいるこちら側が気分を害することなどはない。先生もわたくしも短気のほうだがじっと怒りを堪えるほうである。怒りをぶつけても何も変わらないと冷めた見解を持っている。 珍しく先生が会社の後輩に怒…

先生もわたくしも予知夢というものをみる。 世間では逆夢などと言葉があるが予知夢とはいったいなんなのであろう。先を見るということはどういう意味があるのだろう。人間はショックを和らげる為に睡眠が必要である。 脳内の記憶をフォルダに分けいらない情報は夢と…

色彩

わたくしは高校生の時に油彩教室に通っていた。父親のおさがりの道具を持っていたといった理由からである。卒業後は趣味として描いていた。 時を同じくして先生はPCで描く仕事をしていた。わたくしは肉体労働で稼いだ給料で、カラーコーディネーターと色彩環境学を学ん…

満ち欠け

昨日の先生はなんだか穏やかであった。 話が面白い動画があるから観てごらん。と、メェルがきた。早速アクセスするも何をしてもエラーであった。それを告げるとすぐさま調べ、今アカウントに不具合があるらしいから別の日にしてごらん。と、言われてもわたくしは同じ時間を…

昨日は同級生に会ったり色々な人にあった。 早朝四時に布団に入った。色々なことを考えていた。少し眠りに入ると誰かに追いかけられる夢をみた。 映画のワンシーンのように幾度となく暗闇が押し寄せてきた。そのたびに自分の耳に聞こえるぐらいの脈拍を打っていた…

歩む

土曜日のこと、先生からメェルがきた。待ちわびていたメェルでもいざ音が鳴ると嫌な予感がしてしまう。慌てて読むと、イエモンのバラ色の日々、懐かしい。君も聴くといいよ。 安堵した。 忘れている同級生の名前を聞かれた。わたくしが知っている限り離婚後、精神科に入…

記録

先生が面接に行った時の話である。 スタッフの反対を押しきって面接をしてくれた女社長の印象である。 先生いわく君に物凄く似ていたと。雰囲気と考え方、それと変なイントネーション。君単体で似ている。 そんな女は上司としてはOKだがプライベートでは強烈すぎると言った。…

無意識

先生は無意識という言葉が嫌いである。 ある朝わたくしの携帯に着信が入っていた。こんな朝早くから何事かと思い電話をした。 わたくしは電話くれたみたいだけど何かあった?と、聞くと先生は寝起きの声で、俺かけてないよ。と、言った。確かに着信履歴があ…

その先

先生は言う、 りんのすけ、人の死に敏感なのかもしれんな。俺が人の別れに敏感なように。 確かにわたくしは人の死に敏感なのかもしれない。どこかを怪我して何年頃に人が亡くなるのを分かったりすることがある。信じられないかもしれないが世の中にはそうい…

空虚

【返信】 おつかれ。ただいま。 体調は、まずまずかな。精神の方は、安定剤とミンザイで無理矢理押さえている感じかな。 やる事は山積みなんだけどほとんど処理期間が無いってのと、親会社の方針がコロコロ変わるからうんざりしてるって感じ。現場はごちゃご…

手紙

わたくしは先生に名刺をデザインしてもらったことがあった。大まかな色の指定をしデータを送ってもらった。二種類のデザインと文章が添えられていた。 一つの名刺には白い花がデザインされていた。先生によるとこの花には心の病を治す由来があると書いてあった。 昨…

君を待つ間

先生からの連絡を待つ間、現在の携帯に入っているメェルを眺めていた。 再会してから六年は経ったであろうか色々なことがあった。 わたくしが何もかも嫌になった秋、ざっくり腕を切った。 身体の中の膿を出しきりたかったのだ。 しかしこの時の衝動は落ち着いて…

日常

先生が住んでいたマンションからは通勤が遠回りになる。夜にメェルがきた。 どっかの馬鹿が電車に飛び込んだ。こっちにしたら帰りは遅くなるは人の迷惑を考えろってな。 そんなことは日常茶飯事である。 休日も海外向け商品のサンプルチェックに通う。仕事とマンションの行き来の…

隙間を埋める

先生からの連絡は途絶えた。 きっと仕事で忙しいのであろう。安定剤を服用するようになってから毎日先生を想っている気がする。 今、先生がくれた形見という名の本を眺めながら一緒には聴いたことがない、 TOKYO NO1 SOULSETをわたくしは聴いている。 当時の…

備忘録

昨夜の先生は久しぶりにお酒を呑んだようだ。だから安定剤はお休み。 ほろ酔い加減だったので、薬より健康的じゃない。と、言ったが先生は、 『酒なんて劣化版の経口麻酔だからね』 だそうだ。 わたくしは妙にこの劣化版にという言葉に納得した。何故ならば…

嫉妬

【プレゼント】 ある時、先生の精神状態が悪かった。仕事が忙しいので髪の毛も伸び放題だと言った。 だから君の誕生日プレゼントは遅れるよ。 四月になった頃であったろうか、引っ越し用の大きな箱が一つ届いた。 開けてみると百冊近くの本であった。 大学の時…