昨日の先生は苛立っていた。
メェルの文体で分かったが読んでいるこちら側が気分を害することなどはない。先生もわたくしも短気のほうだがじっと怒りを堪えるほうである。怒りをぶつけても何も変わらないと冷めた見解を持っている。
珍しく先生が会社の後輩に怒ると上司から注意を受けたことがあった。相手の逃げ道を塞ぐ形で怒るのは良くないとプロデューサーに逆に怒られたそうだ。そうとらわれたようだ。
前に先生が言ったことがあった。
俺みたいに物事をはっきり言い過ぎると友達はいなくなるけどね。
いつでもわたくしは先生の言い分に賛同する。こんな先生だからこそ二人で言い合いになると大変なことになるが次の日には意見を整理し元に戻る。
わたくしはどちらかというと物腰は柔らかくしているだけで先生の言うところの、君はどぎつい。確かにそうである。あらゆるシーンでいじめられてくると柔らかい性格では前に進めないのである。特に物を創る人間は堕ちるのは速い。現に堕ちてしまっている。
一線で働く先生をやはり尊敬している。

人間の体内のアドレナリン物質は実は猛毒だと言われている。
どの人間にも自ら毒を持っている。先生の毒とわたくしの毒。お互いの毒を飲んでいる。