七年間

二十二日付けで先生は会社を後にした。
先日こんなことを言っていた。

今の会社に入るときも君に話をした事あったなー。親戚の会社に行くかこっちに残るかの選択で。で、結局、こっちに残る事を選択して勤続年数の割には順調に出世してか。
んで、一休みしてまた転職と。
俺の人生のイベントの分岐点を目撃してるよねー。君。

確かにわたくしはいつの時代も先生と歩んできた。そして何故かわたくしは二十日の日にクリスマスプレゼントを送った。
その夜に二十二日付けで会社を辞めるわ。と、先生から連絡がきた。
そう、クリスマスプレゼントは退職日に届いたのだ。
先生の似顔絵のバックに大航海時代の船を描いた。先生が世界を目指して欲しいといった願いからである。

先生は言った。
大航海時代って英雄も生んだんだろうが、無駄死にした奴もいっぱいいるよね。
俺はどっちになるかな。
わたくし達は創るといった仕事柄よく燃え尽きる。覚醒状態の後の振り幅が物凄い。
消え去りたい衝動に駆られるもそれすら疲労してしまう。
時に苛つきながら作業に集中させる。
苛つきは面には出さない。
これは負けを晒しているといった愚かな行為だ。弱い虫ほどよく吠える。
先生はテレビを捨てた。 わたくしもテレビ番組は滅多に観ない。
余計な情報を脳内に取り込む暇は無いのだ。
その代わり映画は日課のように観ている。
これは考えるといったスタンスが大事だからである。その違いが分からない人間とは分かり合えるわけが無い。
脱落した人間は考えることをしないでのうのうと日々を送っている。

それは生活では無い。確かに年齢の数、先生は生きていた。
その生き方なら誰も否定はしないであろう。