こども劇場

わたくしが小学生の頃いつものように友達のなおちゃんと帰ろうと急いで学校の玄関を出た。その日は二人とも下校時間がとっくに過ぎていて校舎には生徒が誰もいなかった。玄関を出ると校門の所に黒く長い外套を着た恰幅のよい初老の男性が立っていた。どう見てもスキンヘッドの頭には黒いハットを被っており黒いアタッシュケースが気になった。
わたくしはなおちゃんと、
どうする?高学年玄関から帰る?
ただ、わたくしたちは低学年だったため高学年玄関に行くのもある意味恐かったのである。二人で寄り添いながらその男性を遠目で観察していたら男性が気づき振り返った。
!!!!!!
男性は白眼が分からないほど眼が充血しており振り返った外套のちょうど脇腹から何か黒い棒が見えた。

ピストルだ!!

わたくしとなおちゃんはおしっこちびるぐらい慌てて職員室に駆け込んだ。担任の先生に、
変なおじさんがいるんだ!ピストルみたいの持ってる!先生早く早く!

ゆき子先生、焦っちゃってね。陣内孝則ぐらい目が飛び出ていて、わたくしとなおちゃんはそっちにもびびったんだ。
そして恐る恐る三人で変なおじさんに近寄る。

ゆき子先生:ここでな に し てる ん です かぁぁぁあっ!?(かなり動揺中

変なおじさん:んぁ?なぁに恐がってんの、お嬢ちゃんおいで。

(あなた達は離れなさいと、ゆき子先生)

恐いもの見たさでついて行くわたくしとなおちゃん。変なおじさんはかなり酒くさい。だからか、眼が血走っているのは…

変なおじさん:これいらない?と、太った腹がつかえているのかやっとで地べたのアタッシュケースを開けた。わたくしたちはとっさに離れた。

ん?

三人でアタッシュケースを覗き込んだらワンカップの焼酎と、こども劇場のチケットが入っていた。

えっ?

変なおじさん:これ、無料券、来る時間遅れて生徒、誰もいないから寒くてワンカップ呑んじゃった。

えっ?

ゆき子先生:あっ、のぅ…コートの中に何か持っています?こどもたちが何かを見て恐がっていたんですよ。

変なおじさん:んぁ?あっ!これか?

コートばっさぁ!ガチャンガチャンガチャン!シュッ!シャッキーン!

うわぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!今こそ撃たれるぅぁぁぁぁぁぁぁあ!




杖だった。




主演
ヒットマン(変なおじさん)

ゆき子先生
なおちゃん
わたくし


予告映画
ドラえもんとなんとか戦争みたいなチケット


ロケ地
西小学校


わたくしたちが戦場であった。



サンクス西小学校