何年ぶりですかね

法事の為に帰省する先生と調整をしていたがどうにも会えそうになかったが念願果たして何年ぶりかに会えた。待ち合わせ時間は決めていなかったがそこはわたくし達の通ずるもので同じ時刻に家を出ていた。待ち合わせ場所は駅前のベンチ。先に着いたわたくしはウキウキで待っていた。すると似たような人が駅に入って行ったので追いかけたがいない。また広場に戻ると先生が近寄ってきた。わたくしはメガネをしていないので分からなく先生はわたくしが痩せていたので半信半疑だったそうだ。ベンチに腰を掛けわたくしが煙草を吸おうとすると、俺も1年ぶりに吸ってみるかなぁ。と言ったのでクラクラするかもよ?と高校生みたいな会話をし一服、意外になんでもなかったわぁ。と、2人で吸った煙草があんなにも美味しく感じたことはなかった。色々と話を聞き途中で寒いと言い出したので準備万端だったわたくしはフリースを肩に掛けてあげた。わたくし達のバカなところは寒ければ駅に入れるのにそこに留まる習性があるのかもしれない。持って行ったムービーを取り出し先生にカメラを向けた。写真を嫌がる元カメラマンが珍しくムービーを拒否しなかった。
はい!自己紹介して!と言うと自分の名前と笑いながらこれが生前最期の映像かもしれません、お楽しみ下さいと言った。
そして帰りにお土産を渡すと、俺反対側から帰るわぁ。ぐるっと歩くわぁ。と言った。とっさに身体の心配もあったがいつもどおりの握手をしたら、手ぇっちっさ!と毎度同じことを言われた。わたくしは先生が心に決めているから遠回りをしたのだと分かって、
んじゃあねぇ!と手を振りながら別れる頃に気がついた。はっ!いつものハグしてない!
2メートルぐらい離れながらも向き合いつつ二言三言を交わしていたわたくしは突然黙った、そして笑顔でハグミー!と大きな声で言うと先生が駆け寄って来てハグをしてくれた。よしよしと言ってくれてわたくしは、こないだね、友達が来た時も3回もハグしてもらったんだよ。うんうん。と話を聞いてくれた。
その後の会話は覚えていないがとても楽しかった。
そしてわたくしは初めて振り返らなかった。